流血沙汰
昨日の土曜日の夕方。雨が降っていた。クリーニングに出したバイク・ジャケットとベストを取りに行こうと,つっかけを履いて出かける。すぐそこなので,傘をささずにかけていった。で,帰ってきて,マンションの入り口のツルツルの床のところで,見事に転ぶ。アゴをしたたか打ち付けた。
ゲッ,血がボトボト落ちる。
点々と血痕を床に残しながら,なんとかエレベータで部屋へ戻って,洗面所で洗うが,いつまで経っても血が止まらず流れていく。キリがないので,タオルで押さえて,とりあえずじっとしている。が,いつまで経っても血がなかなか止まらない。タオルはどんどん真っ赤になっていく。一時間ぐらい経って血がにじむ程度になったので,鏡で見てみると2センチぐらい切れて,ぱっくり傷口が開いている。救急絆創膏を貼ろうとしたら,また血管が開いたらしく,新たな血がぼとぼと出てきた。
こりゃイカン,医者へ行こう。土曜日の夜7時だが,念のため近所の整形外科をのぞきに行ったが,当然閉まっている。で,仕方がないので119番。いきなり「消防ですか?救急ですか?」と聞かれたが,落ち着いて「救急じゃないんですけど」と事情を話し,住吉区で今やっている病院を聞く。電話番号をふたつ教えてくれた。最初にかけた「鳥潟病院」は,今日は外科の宿直がいないとのこと。で,「あびこ病院」へ電話すると8時までやっているから,来てくれとのこと。行って見て分かったが,ここは土曜日の6時から8時も,フツーに診察している。
タオルで押さえて,傘を持って出ると,ちょうどタクシーの空車が通りかかった。1メーターの距離だが,行って貰う。
保険証を出して,受付をする。保険証には,名前のカタカナのプリントアウトだけで,漢字の名前を書いていなかったので,看護婦に文句を言われる。怪我人に言うなよ。
で,診察。なかなか血が止まらないので,医者が長い時間,傷口を押さえていた。何か血が止まりにくくなる薬を飲んでるか?と聞かれる。肝臓が悪いのか?と念を押される。が,別に悪くない。中性脂肪を減らす薬しか飲んでいない。
で,傷の上下に麻酔を2本打たれて,いよいよ縫合。何針縫ったのか聞かなかったが,何回も縫っていた。結構深く切れていると言う。血が止まらないので,血管もナイロンで縫った由。
まだ出血しているので,オムツみたいにガーゼをたっぷりあてられた。とりあえず,明日(日曜日)の9時から10時に来てくれ,ガーゼを替える,と言われた。出血が止まらなければ,夜中でもいいから来い,と怖いことを言われる。
清算をして,領収書を見ると,「手術:16900円」とある。そうか,アレは手術になるのか。初診料2730円と投薬700円が付いて,3割負担で6100円。
薬が出ているので,処方箋を持って,救急出入口を出た向かいの薬局へ。
フロモックス錠100mg−−抗生物質?
ロキソニン錠60mg−−鎮痛解熱剤?
ムコスタ錠100−−胃薬?
3日分で640円。初めて来る薬局だったので,アンケートに今かかっている医者を書く。と,飲んでいる薬は分かるか?と聞かれたので,持ち歩いている投薬リストを見せる。薬品名を見て「肩こりから来る頭痛ですね」と的確に言い当てられる。さすがプロ。
帰りは歩き。どうやら血が止まったようだ。風呂は駄目,安静にしろと言われたが,血が付いて気持ち悪いので,ちょっとだけシャワーして着替える。薬を飲むため,チキンラーメンを作って食べる。が,アゴを打っているので,下アゴの骨の付け根の関節が痛い。とりあえず薬を飲んで,結構出血したのでサプリメントの「鉄」錠剤も飲んで,食べてすぐ寝ると良くないと思って,「ちちんぷいぷい」の録画を見ていると眠くなってきた。
翌朝,日曜日。9時過ぎに病院へ行かなければならないので,目覚ましをかけて起きる。薬を飲むため朝食をする。サンドイッチを食べたが,アゴの付け根は少しマシになったようだ。でもまだ痛い。
自転車で「あびこ病院」まで行き,ガーゼを替えて貰う。当直の医者は若くてイケメン。たぶんバイトなんだろうな。派手にこけたなぁ,と言われる。仮眠室から出てきて,終わると仮眠室へ戻って行った。再診料570円,処置470円。3割負担で310円。
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(追記)
朝食・昼食とどうもアゴの調子が悪い。近所のコンビニの顔見知りのスタッフにも「お大事に」と言われてしまう。で,夕食は「流動食」を摂りに「竹宗」へ。医者にすら「気分悪くないか」と聞かれるぐらい昨日は出血したので,栄養を取って血液を造らねばならない。
アテは,柔らかい老人食ということで「寒ぶりの刺身」。竹宗が「ボンベイ・サファイア」入ったよ,というので,ジン・トニックをいただく。タンカレーほど甘くない,すっきりとした飲み口。
最近,飲むときにしか本を読まなくなったので,やっと小松左京氏の「果しなき流れの果に」(ハルキ文庫)を読み終わった。野球少年だった竹宗ですら知っていたSFの名作。解説で大原まり子が「この作品が,今から三十二年前,一九六五年書かれたなどということが,信じられるだろうか?」と書いているが,その解説から9年経った今でも,新しい。「古典」ではないよね。SFなのに41年経っても古びない。凄い作品だ。